制作日記

ここでは2007年以前、「アトリエ蔵」時代の制作風景を紹介します。

Rhaetulus Speciosus 2004

滋賀県栗東市のさきらコンペティションで大賞を受賞した作品です。

 

やっと運んだ。助け合ってやっとです。3トン以上ある。

これが原石。まずこう割って次にここを割って・・・。

形ができてくるのはなんともいえずいいものです。

一番左の石は、なんと肝心なところにクラック(天然のヒビ)が入っていたので

別な石を切り直してもらいました。またはじめからやりなおし。

大変です・・・。

芯棒はバンセンと小割で作ります。粘土をつけて石膏取りをします。

石膏取りがなかなか大変。途中で終われないので徹夜になることがあります。

鋳造家の岡宮さんと。岡宮さんは阿弥陀様のようなひとです。

あの船越保武先生や細川宗英先生の仕事の多くを任されてきた方でもありす。

保武先生は当時、まだ若かった岡宮さんに「原の城」の鋳造を依頼し、着彩はすべて

岡宮さんの裁量に任せると言い、若き岡宮さんは思案の結果、先生に一発合格をもらったという話があります。

若輩の私に、人生の多くのこと、彫刻家としての心得を身をもって教えてくれます。

現在は朝倉響子さんや加藤昭男さんの盟友として仕事をされています。

裏に穴を開けるのもチェーンブロックで倒してから・・。

設置と除幕式です。長い工程だったなあ。

でも、この瞬間があるからがんばれるのだ。

 

 

多摩動物園昆虫生態園  2004

多摩動物公園の昆虫生態園入り口に作品を設置しました。

制作過程です。割って、彫って、削って、磨きます。

言うのは簡単です。

設置の様子。ユニックでおろし、三又(さんまた)で設置します。

パプキン、アゴの取り付け。

愛車ビートルで設置作業中。

このときはまだホワイトリボンタイヤでシングルバンパーだった。

オープニングセレモニーの様子です。

高校時代の同級生が来てくれました。

おまけ:後日撮影に行ったら、クジャクくんが私の作品をながめていた。

多摩動物園ではクジャクが放し飼いなんですね・・・。

 

 

ゴライアス・レギウスのヘルメットを冠った王  2002

蔵の壁が古代の遺跡を思わせる・・・?

原石です。大まかに切り落としてから彫り始めます。

仏像のようなポーズで、右腕ははじめからないことがわかります。

人体完成。

レギウスの模様はモザイクで表現しました。

これがかなり大変!学生にアルバイトで手伝ってもらいました。

ハナムグリの王様、ゴライアスのヘルメットを戴いた王。

 

 

オオクワガタ  2001 

2001.4 栃木県 今市市 杉並木公園に設置しました。 

2001.1 原石にデッサンしたところです。ラクガキではありません・・。

2001.2 荒彫りしたあとにグラインダーでダイヤモンドカップをかけています。

僕は夜型なので投光器の光で燃えてきます。

2001.3 丸ノコの奥にあるコアという筒状の刃で裏に穴をあけます。

動かすときはオビをかけてクレーンで釣ります。このクワガタは1トンくらいです。

 

 

メンガタクワガタ 2000

アフリカのヘンテコなクワガタ、メンガタメリーです。

2000.12 学校で撮影

1999 原石です。どんな姿勢にしようかナ〜。

2000.11 ツメとアゴはブロンズでできています。

粘土で原型を作り、シリコン型を作ってワックスにし、湯道とアガリをつけます。これがなかなか・・・イライラします。

レンガの粉(アンツーカ)を混ぜた石膏で柱状に埋めて(※チョコレートケーキではありません)

窯で焼き、どろどろに熔けたブロンズを流し込みます。アチチ!

 

2000.11  台と合わせながら足を作り、ピンでとめます。

なぜボディーが持ち上がっているかって?それは秘密です。

2000.12 完成!動かないのが残念。

 

ヘルクレスオオカブト  2000

 2000.11月の展示に出品しました。ヘラクレスの化石のような・・・

2000.10 まず、丸ノコで大まかな荒取りをします。

手前にあるのは羽の部分になる黄色いトラバーチンです。

2000.11 磨きに入る前のヘラヘラとペレメタ。

まだ黒くなっていません。

2000.11 ポリッシャーで磨いてゆきます。水が冷たひ・・。

色が出てきたかな。

 

 

標本テーブル 2000

2001.5 標本が入る机です。自分の部屋に置いています。

2000.10 拾った木にノミで穴を彫ってゆきます。

奥にあるのは、大学1年のときに作ったシマフクロウ。

2000.11 台をつけてコルク、ガラスを入れて完成。

標本を見ながらコーヒーを飲むとまた格別。

 

 

ヘルクレスオオカブトと兵士  1998

1998.3 修了制作展 上野芸大にて。 

1997.5 作業場に二つの月?ひとつは投光器です。

1997.6〜12月 はあ〜。よくこんな面倒なことやったなあ。

自分自身の若さゆえのがんばりですね。後先を考えていない・・。

1997.11 ブロンズ鋳造のための型を焼いています。

まるまる2日かけてゆっくり650度まで上げます。

1997.11 ゴォ〜!すごい音!この作業を吹きといいます。

お、重い!顔が熱いのでへんな布をかぶっていますが、容赦なく熱い。900℃くらいか?

しかし、ミスは許されない。「もっと早く!湯(溶けたブロンズ)を切るな!おい、何やってる!!」

たのむ〜あがってくれ。(うまく流れるとアガリの穴からガスと湯が出る)

「よし!」・・・・作業も怖いんですが、教官はもっと怖いんですよね。

儀式の神官のような。

 

1998.1 雪が降ってきてしまった!!

フォークリフトが使えない!展示まであと数日しかない。

1998.1 それでも楽しむぜ〜。

左からオレ、山内さん、アクツ。

1998.1 穴あけしてピンでとめます。

兵士を乗っけて完成。このままのほうがいい?う〜ん。賛成。

 

 

Megasoma(ゾウカブト) 1996

1996.12 芸大取手校舎 資料館前で。

1996.5 原石です。関ヶ原で買ってきました。写っているのは弟と母親です。

これがカブトムシのボディーになるとは知らぬ弟。

1996.9 ボディを作ってから足を作ります。

ライムストーンはもろくて石膏のようでした。

1999.10 設置のために改造することに。頭部を作りなおしましたが気に入らずやめました。

やっぱり自分で思ったとおりに作るのが一番!

1999.10 こういうことをしてはいけません。

1999.10 もうひといき。このあと、愛知県三好町に設置されました。

 

MINIアルバム 虫のアトリエ

TOP